革製品選びに失敗しないために|革作家が教える革の基本「鞣し」と「着色」

「え?革って、どれでも使えば味が出てくるものじゃないの?」

お客さんとお話ししていると、このように驚かれることがよくあります。

ですが実際には、
革には 「経年変化を楽しめるタイプ」「変化しないタイプ」 があり、
世の中に流通している革製品の 8〜9割は、あまり変化しないタイプ だったりします。

「味が出るのを楽しみにしていたのに……」

「色が変わってきたんだけど!?」

そんな残念な気持ちにならないために、
革作家として活動している私が、
革製品を選ぶ前に“最低限これだけは知っておいてほしい基本” をお伝えします。

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革製品は決して安い買い物ではありません。
革の特徴を知って、あなたの好みや使い方に合うものを選んでくださいね。

それでは、いきましょう。


目次

初心者がまず知るべき革素材のポイントは2つ

革製品選びで大切なポイントはたくさんありますが、やはり「革の素材」が一番重要。
その中でも、以下の2つだけ押さえればOK です。

  1. 鞣(なめ)し方法(タンニン鞣し/クロム鞣し)
  2. 着色方法(染料仕上げ/顔料仕上げ)

これらを知るだけで、
「自分に合う革製品かどうか」がグッと判断しやすくなります。


革の鞣しとは?タンニン鞣しとクロム鞣しの違い

動物の「皮」は、そのままでは腐ってしまいます。
これを丈夫で長く使える素材に変える工程が 「鞣し」 です。

鞣し方法は、大きく分けて次の2種類があります。


クロム鞣しの特徴

「塩基性硫酸クロム」という化学物質を使った、現在もっとも一般的な鞣し方法です。

柔らかくてクタっとした感じです。

特徴

  • 軽くて柔らかい
  • 水や汗に強く、扱いやすい
  • 色ムラが少なく、均一で上品な仕上がり

日常使いで気を遣わずに使える、いわば「実用性重視の革」

上品な印象で、フォーマルな場にもよく合います。

色味はほとんど変化せず、
ずっと買ったときの色を保ちたい」という方に向いています。

市場流通の8~9割がこの「クロム鞣し」の革と言われています。


タンニン鞣しの特徴

植物に含まれる「渋(タンニン)」を使った、古くから伝わる鞣し方法。

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いわゆる「味が出る革」が、コレです。

特徴

  • 使うほどに色が深くなり、ツヤが出る
  • いわゆる「経年変化(エイジング)」を楽しめる
  • 革らしい風合いが強い

水に濡れるとシミになったり、小傷が入りやすかったりと、扱いには少し気を遣います。

ただしその小傷も、揉み込むことで馴染み、
「自分だけの味」 になっていくのがタンニン鞣しの魅力です。

またその性質を活かして「刻印ができる」という意味では、大きなメリットでもあります。

「革らしい革が好き」「育てる感覚を楽しみたい」
そんな方におすすめです。


コンビネーション鞣しとは?

クロム鞣しとタンニン鞣しを組み合わせた方法もあります。
「コンビ鞣し」「混合鞣し」と呼ばれます。

特徴

  • 水や傷に そこそこ強い
  • 経年変化も そこそこ楽しめる

よく「水や傷に強く、経年変化も楽しめる“いいとこ取り”」と言われることもありますが、

実際には「バランス型の革」というイメージが近いです。

最近では、この“ちょうどよさ”が支持され、
コンビ鞣しの革製品も増えてきています。


革の着色方法|染料と顔料

鞣し方法の次に大切なのが、色の付け方 (着色方法)です。
着色方法は主に次の2種類があります。


染料仕上げの特徴

染料を革の表面または内部まで染み込ませる方法です。

特徴

  • 革本来のシワや血筋が見える
  • 透明感があり、革らしい表情
  • しっとりとした手触り

部位やロット、季節によって色味が微妙に変わることがあります。
Webショップで購入する場合は、商品写真と比べて多少の色の違いはあるもの という前提で考えておきましょう。
むしろ、「そのときにしか手に入らない色」とポジティブに捉えられると良いです。

また、摩擦による色移りや、日光による退色の可能性もあります。

ちなみに、タンニン鞣しの革は、その表情を活かすため「染料仕上げ」の革が多いです。


顔料仕上げの特徴

顔料を革の表面にのせ、コーティングする方法です。

特徴

  • 色味が均一で、発色がはっきり
  • 小傷が目立ちにくい
  • 汚れや水に比較的強い

一方で、革本来の表情は隠れやすく、
深い傷が入ると下地が見えることもあります。

また、タンニン鞣しの革でも、顔料仕上げでは経年変化を感じにくくなる点には注意が必要です。


セミアニリン仕上げとは?

染料と顔料を併用した仕上げ方法で、
「セミアニリン仕上げ」と呼ばれます。

薄化粧のものから、しっかりコーティングされたものまで幅があり、
革らしさと耐久性のバランスを取った仕上げです。

ソファや車のシートなどにも使われることがあります。

※ちなみに、合皮(プラスチック製)も顔料仕上げのため、
見た目だけで本革か合皮かを判別するのは、プロでも難しい場合があります。


【結論】失敗しない革製品の選び方

目的別にまとめると、次のようになります。

  • 扱いやすさ・色の安定感を重視するなら
    → クロム鞣し× 顔料仕上げ
  • 革らしい風合い・経年変化を楽しみたいなら
    → タンニン鞣し × 染料仕上げ

今回の内容を参考に、
ぜひあなたのライフスタイルや好みに合った革製品を選んでみてください。

素敵な革製品との出会いが、
日々の暮らしを少し豊かにしてくれるはずです…!


タンニン鞣しの革製品を買うには?

補足で1つ。

タンニン鞣しの革は、「ロット差が大きい・小傷が入る・経年変化が進む」という観点から、量販店にはあまり並びません

購入したい場合は、以下の方法を参考にしてください。

  • 革工房でオーダーする。
  • 地域のマルシェで革作家さんが出ていれば、聞いてみる。
  • Webサイトではっきりと「タンニン鞣し」「染色仕上げ」と書かれている製品を購入
Cwith Leather

マルシェに出てこられる作家さんの半数以上は、タンニン鞣しの革を使用されているイメージです。

今後も、革をもっと楽しむための情報を発信していきます。
どうぞよろしくお願いします。


関連記事

  • タンニン?クロム?店頭での見分け方(準備中)
  • 革は経年変化でどうなる?実例付きで紹介(準備中)

補足

当店ではタンニン鞣しの革を中心に、用途に応じてコンビ鞣し・クロム鞣しの革も使用しています。
興味があれば、以下の記事もぜひご覧ください。

  • C-with Leatherの取り扱い革を紹介します
  • 使いやすくて味がある!ワイルドトートバッグ(コンビ鞣し革)
  • 色移りを気にせずオイルレザーを楽しむハイブリッドなカメラストラップ
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